地方公務員のラスパイレス指数ランキング【最新】1位は静岡県。給与水準の見方を元財政課長が解説

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「うちの自治体は、国と比べて給料が高いのか、安いのか」。そう聞かれて即答できる職員は、実はそう多くありません。

総務省が2025年12月に公表した「令和7年地方公務員給与実態調査」によれば、全地方公共団体の平均ラスパイレス指数は98.9(前年比+0.1)。国家公務員を100とした場合、地方公務員全体はわずかに下回る水準です。

でも、これはあくまで「平均」の話です。都道府県別に見ると、1位の静岡県は101.8、最下位の青森県は96.8。同じ地方公務員でも、自治体によって約5ポイントの差があります。

毎年、人件費見積書や給与改定資料を確認していた財政課長の立場から見ると、この指数は単なる数字遊びではありません。給与制度や昇給運用、人事構成などの影響が数字に反映されているのです。

この記事では、最新のラスパイレス指数ランキングを都道府県・政令指定都市・市区町村の3層で見ながら、その数字が何を意味していて、何を意味していないのかを整理します。

📋 この記事でわかること

  • 都道府県別ラスパイレス指数ランキング(全47都道府県・最新データ)
  • 政令指定都市・中核市・市区町村で指数の差がさらに広がる理由
  • 指数が高い=得、低い=損、と単純に言えない財政課長ならではの裏事情
  • 自分の自治体の立ち位置を知った後に、何をすべきか
目次

そもそもラスパイレス指数とは何か

ラスパイレス指数は、国家公務員の給料水準を100としたとき、地方公務員の給料水準がどの位置にあるかを示す指標です。学歴や経験年数の構成による影響を補正したうえで、国の行政職俸給表(一)適用職員と比較して算出されます。

単純な平均給与額の比較ではなく「同じ条件の職員同士を比べたらどうか」を見る指標なので、自治体間の給与水準を横並びで比較するときの、いわば共通のものさしとして使われています。

令和7年4月1日現在、全地方公共団体の平均は98.9。前年(98.8)からわずかに上昇しましたが、国家公務員をやや下回る水準が続いています。

ラスパイレス指数が高くなる主な理由

指数の高低には、いくつかの要因が影響します。総務省の公表資料や一般的な給与制度の知識から、代表的なものを整理すると次の通りです。

  • 独自の給料表・給与制度 国の給料表をそのまま準用せず、自治体独自の号給や昇給カーブを設定している場合、運用方法によって指数が高くなることがある
  • 昇格構成・級別構成 昇格のペースや級別の職員構成の違いが、指数に影響することがある
  • 管理職比率 管理職世代の職員が多い自治体ほど、指数に影響しやすい
  • 給与改定のタイミング 国の給与改定への対応時期のずれも、要因の一つと考えられる
  • 小規模自治体特有の変動 職員数が少ない自治体では、少人数の異動や職員構成の変化だけで指数が大きく動くことがある

ラスパイレス指数が100を超えるとどうなる?

100を超えるということは、国家公務員(行政職俸給表(一)適用職員)を100として比較した給与水準が、国を上回っていることを示します。ただし、地域手当や物価は反映されないため、「実際の待遇が必ず良い」という意味ではありません。指数が100を超えている自治体でも、物価や家賃が高い地域では可処分所得はむしろ厳しくなることもあります。あくまで「国と比べた給料水準」という一つの物差しにすぎない、と捉えておくのが安全です。

ラスパイレス指数は高い方がいい?就職先選びの参考になる?

「指数が高い自治体の方が待遇がいい」と考えるのは早計です。地域手当・退職金水準・物価・住宅コストなど、生活に直結する要素は指数に反映されていません。就職先や転職先を比較する際の参考にはなりますが、あくまで数ある判断材料の一つとして扱うのが安全です。

都道府県別ランキング——1位は静岡県、最下位は青森県

まずは都道府県別のランキングです。1位は静岡県(101.8)、僅差で愛知県(101.0)、三重県・広島県(ともに100.9)が続きます。上位には東海地方の自治体が複数入っています。

一方、最下位は青森県(96.8)。鹿児島県(96.9)、鳥取県(97.1)と続き、上位と下位の差は5ポイント。給与水準を比較する指標として、約5ポイントの差があります。なお、本記事で掲載している数値はいずれも「地域手当補正前」のラスパイレス指数です。

📊 都道府県別ラスパイレス指数ランキング(R7.4.1現在・全47都道府県)

順位 都道府県 R7指数 前年(R6) 増減
1静岡県101.8102.2▲0.4
2愛知県101.0101.0±0.0
3三重県100.9101.1▲0.2
3広島県100.9100.9±0.0
5岡山県100.8100.3+0.5
6東京都100.5100.5±0.0
7大阪府100.4100.4±0.0
8茨城県100.3100.2+0.1
9秋田県100.2100.1+0.1
9福島県100.2100.0+0.2
9山梨県100.2100.5▲0.3
12宮城県100.1100.0+0.1
12福岡県100.1100.8▲0.7
12大分県100.199.8+0.3
15群馬県100.0100.0±0.0
15埼玉県100.0100.3▲0.3
15長野県100.0100.0±0.0
18山形県99.8100.2▲0.4
18滋賀県99.899.6+0.2
18佐賀県99.899.6+0.2
21和歌山県99.799.5+0.2
22岩手県99.699.4+0.2
22千葉県99.699.6±0.0
22香川県99.699.7▲0.1
25神奈川県99.5100.0▲0.5
25京都府99.599.4+0.1
25山口県99.599.3+0.2
28栃木県99.499.4±0.0
28富山県99.499.2+0.2
28福井県99.499.0+0.4
28岐阜県99.499.3+0.1
28兵庫県99.499.3+0.1
28熊本県99.499.3+0.1
34北海道99.299.0+0.2
34新潟県99.299.5▲0.3
34奈良県99.299.1+0.1
34徳島県99.299.0+0.2
38高知県98.898.7+0.1
39愛媛県98.698.4+0.2
39長崎県98.698.4+0.2
41島根県98.298.2±0.0
42沖縄県97.997.8+0.1
43石川県97.899.5▲1.7
44宮崎県97.697.3+0.3
45鳥取県97.196.6+0.5
46鹿児島県96.996.3+0.6
47青森県96.896.8±0.0

出典:総務省「令和7年地方公務員給与実態調査結果等の概要」(2025年12月公表)第3表より筆者作成。数値は一般行政職・令和7年4月1日現在。地域手当補正前の数値。同率順位あり。

特に目を引くのは石川県です。前年の99.5(24位)から97.8(43位)へ、1年で1.7ポイント、19も順位を落としています。年齢構成や給与制度の運用など複数の要因が考えられますが、公表資料では理由までは示されていません。

ラスパイレス指数が高い自治体・低い自治体の特徴

今回のランキングでは、上位に静岡県・愛知県・三重県・広島県・岡山県など、東海・中国地方の自治体が目立ちました。下位には青森県・鹿児島県・鳥取県・宮崎県など、地方部の自治体が並んでいます。

ただし、これはあくまで今回の調査結果として現れた傾向であり、特定の地域が構造的に「高い」「低い」と決まっているわけではありません。石川県のように1年で大きく順位を落とす自治体もあり、年度によって顔ぶれが入れ替わることも珍しくありません。

財政課長の視点:なぜこの順位が生まれるのか

ここまで見てきた「高くなる理由」は、あくまで一般的な傾向です。ただ、財政課にいた実感として、もう一つ付け加えておきたいことがあります。

私が勤務していた自治体では、人事課と財政課で人件費の考え方が異なる場面も少なくありませんでした。人事課は人材確保や給与制度の維持を重視し、一方で財政課は人件費総額への影響を意識する場面がありました。ラスパイレス指数の背景には、こうした給与制度の運用実態が反映されます。人件費への影響は自治体の規模や制度改正の内容によって大きく異なりますが、この数字には、現場の職員が思っている以上に、人件費や給与制度をめぐる議論の結果が反映されることもあります。

ねこ

指数が低い自治体で働いていると、なんだか損している気がしてくるにゃ……

 

さゆり

その気持ちはよくわかります。でも指数が低いことと、その自治体で働くのが「損」であることは、実はイコールではありません。理由は後半で詳しく説明しますね。

 

政令指定都市・中核市・市区町村では、格差がさらに広がる

都道府県だけを見ていると、この格差の実態を見誤ります。市区町村単位まで下りていくと、差はもっと極端になるからです。

政令指定都市(20市)のトップは仙台市(102.2)、最下位は相模原市(98.3)。中核市(62市)に目を移すと、トップの越谷市(102.4)に対し、最下位の寝屋川市はわずか93.2。中核市どうしでも、9ポイント以上の開きがあります。

さらに市区町村全体(1,659団体)まで広げると、最も高いのは千葉県神崎町の103.3(前年100.6から+2.7の急上昇)。そして最も低いのは、東京都青ヶ島村の79.4です。

📊 階層別に見るラスパイレス指数の幅(R7.4.1現在)

  • 都道府県(47団体):101.8(静岡県)〜96.8(青森県)
  • 政令指定都市(20市):102.2(仙台市)〜98.3(相模原市)
  • 中核市(62市):102.4(越谷市)〜93.2(寝屋川市)
  • 市区町村(1,659団体):103.3(千葉県神崎町)〜79.4(東京都青ヶ島村)

出典:総務省「令和7年地方公務員給与実態調査結果等の概要」第3表・第4表・第6表より筆者作成。市区町村は上位・下位50団体の公表データに基づく代表例。

東京都でありながら最下位に位置する青ヶ島村や、上位に食い込む千葉県神崎町のような例が示す通り、小規模自治体では職員数が少ないため、職員構成の変化が指数に大きく影響する傾向があります。単純な「待遇の良し悪し」だけで語れないのが、この指数の難しいところです。

ラスパイレス指数は毎年変わる?

ラスパイレス指数は、総務省の「地方公務員給与実態調査結果等の概要」として毎年公表されており、今回のR7.4.1データも前年(R6.4.1)と比較する形で示されています。多くの自治体は前年から±0.5ポイント程度の変動にとどまりますが、石川県のように1年で1.7ポイント動く例もあります。1年単位で変動を確認しておくと、自分の自治体の給与制度の動きを継続的に把握しやすくなります。

指数が低い=損、というほど単純ではない

ここまで数字を並べてきましたが、財政課長として一つだけ、はっきり言っておきたいことがあります。

ラスパイレス指数は「国と比べた給料水準」を示すだけで、地域手当や住宅手当を含めた実際の手取り、退職金、共済の給付水準、物価や家賃といった生活コストは一切反映していません。指数が低い自治体でも地域手当が高ければ手取りは変わりますし、指数が高くても物価の高い地域では可処分所得は目減りします。

正直に言えば、この指数だけを見て一喜一憂することにはあまり意味がありません。それより大事なのは、「自分の自治体の給与制度が、今後どちらの方向に動きそうか」を把握しておくことです。指数が高い自治体では、財政状況によって人件費の見直しを議論する際の一つの材料になることがあります。逆に国との乖離が大きい自治体では、給与制度の見直しが議論される可能性があります。

つまりこの数字は、現状確認のためのものではなく「これからどうなるか」を考えるための材料として使うべきものなのです。

⚠️ 自分の自治体の指数を確認しないままでいるリスク

  • 給与水準の相対的な位置がわからない 自分の給料が高いのか低いのか、判断基準を持たないまま働き続けることになる
  • 人件費見直しの議論に気づけない 指数の水準は、財政状況によっては人件費を議論する際の材料の一つになることがある
  • 他の選択肢との比較ができない 今の自治体の水準を知らなければ、転職や異動を検討する際の判断材料も持てない

自治体の給与制度は、短期間で大きく変わるものではありません。一方で、あなたの市場価値は、経験やスキルの磨き方次第で今日からでも変わっていきます。まずは一度、公務員としての経験やスキルが「外の市場」でどう評価されるかを、客観的に確認しておくことをお勧めします。

 

まとめ:数字は「答え合わせ」より「立ち位置の確認」に使う

令和7年地方公務員給与実態調査が示したのは、同じ「地方公務員」という肩書きの中に、都道府県で5ポイント、市区町村まで見れば約24ポイントの給与水準の開きがあるという事実です。

整理すると、この記事でお伝えしたかったことは3点です。

  1. ラスパイレス指数は都道府県で101.8〜96.8、市区町村まで見ると103.3〜79.4まで開いており、自治体間格差は想像より大きい
  2. 指数の高低は「得・損」を直接意味しない——地域手当・退職金・生活コストを含めた総合的な視点が必要
  3. 指数は自治体の給与制度の議論を読むための材料の一つとして使い、自分のキャリアの立ち位置を定期的に確認することが重要

ラスパイレス指数は、給与の優劣を決めるランキングではありません。国と比べた自分の自治体の立ち位置を知り、今後の給与制度やキャリアを考えるための基礎データとして活用することが重要です。

自分の自治体の数字を確認したら、次にやるべきは「その数字を前提に、自分のキャリアをどう設計するか」を考えることです。今の職場に留まるにせよ、外に目を向けるにせよ、まずは自分の市場価値を客観的に知っておいて損はありません。

※本記事のランキングは総務省「令和7年地方公務員給与実態調査結果等の概要」(2025年12月25日公表、令和7年4月1日現在)に基づきます。ラスパイレス指数は一般行政職・地域手当補正前の数値です。中核市・市区町村については上位・下位の代表団体のみを掲載しており、全団体を網羅するものではありません。指数の算出方法や詳細な留意事項は、総務省の公表資料をご確認ください。

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この記事を書いた人

20年以上にわたり、市役所・県庁、そして総務省といった「地方自治」の最前線でキャリアを積んだ元地方公務員。自治体経営の要である「財政課長」として、「現場に寄り添う予算査定」をポリシーに、数多くの予算編成や行財政改革を完遂。議会からも厚い信頼を寄せられた実績を持つ。

組織の意思決定の舞台裏で培った「公務員のリアルな実務」と、激務の中で見出した「キャリア構築の知恵」を余すことなく公開。難解な制度や、複雑な職場の人間関係といった壁に直面する現役職員へ、元財政課長の視点から忖度なしの具体的解決策を提示します。

天然キャラながら時に核心を突く相棒「ねこ」とともに、地方自治体の世界を分かりやすく解剖。若手公務員の成長と、組織に埋もれない「賢い生き残り戦略」を全力でサポートします。

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